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開催レポート

第11回富裕層観光戦略ウェビナー「平戸城 CASTLE STAY誕生物語」

第11回富裕層観光戦略ウェビナー「平戸城 CASTLE STAY誕生物語」
開催日2025年6月26日(木) こちらのイベントは終了しました
開催時刻13:30~14:30
参加条件 無料、事前申込制
主催 一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構
後援 日本政府観光局(JNTO)、ニュービジネス協議会(NBC)
協賛 株式会社クレディセゾン

今回のウェビナーは、一般社団法人 平戸観光協会 専務理事 松尾俊行様、事務局長 藤田法恵様をゲストにお迎えして、平戸城 CASTLE STAY誕生物語をお話しいただきます。

日本屈指の国際交流の拠点として栄えた長崎県・平戸。ここ平戸に1718年に完成した平戸城は別名・亀岡城と呼ばれ、日本100名城のひとつに選ばれています。現在の平戸城天守閣は1962年に復元されたもので、2021年4月、平戸市は観光庁の支援を得て、海に面した絶景が望める「懐柔櫓」を宿泊施設化。日本初の常設「城泊」施設が誕生しました。

1日1組限定で宿泊料金は1泊66万円。運営は日本航空などの民間企業3社によるJV(ジョイントベンチャー)が担い、国内外から訪れる宿泊客を「特別城主」としてもてなし、唯一無二の体験価値を提供しています。

今回は平戸観光協会の松尾様と藤田様に、平戸城 CASTLE STAYが誕生した経緯や宿泊プラン・アクティビティ、さらに平戸の魅力についてお話しいただきます。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

*参加無料・見逃し配信動画をご希望の方も参加登録をお願い致します。

 

対象の方

  • 観光戦略を担う自治体・DMO関係者の皆さま
  • 「高付加価値」な観光サービスの提供事業者さま
  • 富裕層の観光需要を獲得したいとお考えの事業者さま
  • そのほか、ご関心のある方(意欲のある学生の方の参加も歓迎します)

 

プログラム内容

講演

「平戸城 CASTLE STAY誕生物語 ーその日、あなたが平戸城主となるー」

一般社団法人平戸観光協会 専務理事 松尾 俊行 様
一般社団法人平戸観光協会 事務局長 藤田 法恵 様

 

質疑応答

 

 

主催者 / 一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構について

一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構は、ラグジュアリーツーリズムの振興を目的とした団体です。国内のラグジュアリーホテル・旅館・レストランのBEST10を顕彰する「Luxury Japan Award」を主催しています。

開催レポート

一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構は、6月26日(水)、11回目となる「富裕層観光戦略ウェビナー」を開催いたしました。

 

ご登壇は、一般社団法人平戸観光協会専務理事 松尾俊行様、そして事務局長 藤田法恵様をお迎えして「平戸城CASTLE STAY誕生物語」についてお話しいただきました。

 

1. はじめに

長崎県平戸市は、日本屈指の国際交流の拠点として栄えました。1718年に完成した平戸城は、日本百名城の1つに選ばれています。また、2021年4月には平戸市は観光庁の支援を得て、海に面した絶景が望める宿泊施設とした日本初の常設城泊施設です。運営は日本航空などの民間企業3社によるジョイントベンチャーが担っています。

 

ウェビナー開始にあたり、平戸観光協会松尾理事から「『平戸城CASTLE STAY』の素晴らしさはもちろん、城下町商店街を含む各地区で平戸の日常に触れていただくことが、より感動的な非日常へと繋がるとの考えから、さらに多くの富裕層のお客さまに平戸を知っていただき、お越しいただきたい」とのご挨拶をいただきました。

 

また、藤田事務局長からは、「平戸城CASTLE STAY誕生物語 その日、あなたが平戸城主となる」と題して、以下ご説明をいただきました。

 

2.平戸市の紹介

平戸へのアクセスは、福岡空港から車で2時間、長崎空港から約1時間30分。2026年には西九州自動車道の平戸インターチェンジができるため、より近くなる予定です。公共交通機関では佐世保駅を中心とし、博多駅、長崎空港との間に高速バス、電車等が通っているほか、博多駅からは平戸市内までは約2時間30分の直行バスが1日2本運行しています。

 

平戸は日本と異国が融合した、異国情緒漂う唯一無二の街。日本の玄関口としての歴史は古く、平安時代より遣隋使や遣唐使を送り出す最後の寄港地にもなっていました。その後、1550年のポルトガル船来航をはじめ、次々と外国船が平戸へ入港すると、港には商館が置かれ、長崎開港までの92年間、日本唯一の国際貿易港として栄えました。日本で初めてキリスト教が伝えられ、砂糖やビールが初めて輸入されたことでも知られています。

 

平戸は大小40の島で構成された、雄大な自然が残る場所。九州本土の最西端に位置しています。国立公園が平戸島の4分の1を占め、重要文化的景観として保全されています。オランダ商館、教会群などの歴史的建造物や、かくれキリシタンの聖地である中江ノ島、春日集落など、多くの世界遺産も存在しています。

 

3.「平戸城CASTLE STAY」の誕生について

「平戸城CASTLE STAY」誕生の1つのきっかけは、2018年4月6日「城の日」にちなんだ、一般のかたが一日城主としてお城の天守閣に泊まることができるイベント企画でした。当時、この企画はテレビや新聞、BBC(英国放送協会 / British Broadcasting Corporation)にも取り上げられました。希望者を募ると応募総数は7,428人にも達し、その約7割は海外からの応募だったといいます。これらのメディア露出は、平戸城の入場者増という効果を生み出しました。

 

もう1つのきっかけは、2018年の平戸城再築城300周年記念事業「平戸、海のものがたり」として、平戸城のプロジェクションマッピングや、シルク・ド・ソレイユ出演者によるアクロバットショーなどのイベントを開催したこと。このイベントは、2か月の期間中、約2万3,000人の来場を記録しました。

 

当時、平戸城の入場者数は減少していて、一時は20万人近かった入場者も4分の1ほどになっていました。その後、外国人観光客は徐々に増加していましたが、ちょうど平戸市総合計画の新たなビジョンの策定時期だったため、10年後の目標を平戸城入場者12万人、外国人宿泊者3万人を目指して、城泊の整備を始めました。城泊では5人程度しか泊まれませんが、あくまでも外国人誘客のフックとなる事業として計画しました。

 

整備事業予算は1億4,000万円で、国の地方創生推進交付金を使用しました。また、当時の平戸市にはノウハウがなかったため、城を宿泊施設とするための設計、およびホテル運営管理ができる事業者を、10年間の指定管理として公募しました。その後、令和元年に事業者が決定、2年という期間をかけて、令和3年3月に完成したのです。

 

改修では、平戸城にある6つの櫓のうち、宿泊を懐柔櫓、レストランを乾櫓としました。耐震工事、床面積変更、飲食営業といった設計上の課題が山積し、工事期間もタイトでしたが、耐震工事は補強のみとするなど、関係各社の方々のご協力を得て完成しました。

 

内装は、城のイメージというより居住性を重視しました。浴室を増築し、平戸大橋を一望できるオーシャンビューとしました。リビングの壁紙は松浦資料博物館蔵の図譜「蛺蝶譜」を元に、宮崎県出身の琳派の画家である小松孝英さんに描いていただきました。また、バレルサウナを設置し、昨今のサウナ人気を背景とした新たな観光客の獲得も目指しています。

 

宿泊の基本プランは、1泊2食付きで66万円です。和装の着付け、天守閣の貸し切り、お土産セットなどを基本サービスとしています。素泊まりでは33万円。オプションとしては、亀岡神社での平戸神楽・御祈祷、鎮信流の茶道体験、世界遺産をめぐるトレッキングツアー、バイオ燃料を使用したEバイク、漁師体験など、平戸ならではのストーリー性のある体験コンテンツがあります。また、絶景や世界遺産を巡るアイランドホッピング、独自のオーダーメイドツアーとして、特産であるあご(トビウオ)と地酒を楽しめる観光列車「あごトレイン」や、国指定有形文化財「棲霞園」を会場としたガストロノミー体験も可能です。

 

4.今後の取り組み

平戸観光のこれまでの取り組みとして、前述の平戸城のリニューアルのほか、平成21年には城下町全体の景観条例を制定し、街並みの整備を行いました。令和3年には平戸観光協会はDMOとなり、宿泊施設の高付加価値化と、観光地を核とした地域活性化の好循環の創出する「地域DMO事業計画」を打ち出しました。松浦鉄道と連携した日本酒列車の旅、アドベンチャートラベル、街全体がカステライエローに染まるカステライエローイマーシブ、ウェルネスツーリズムなど、街の回遊促進に取り組んでいます。

 

また、昨年より運行管理者としてライドシェアの実証運行も行っています。長崎空港から平戸への定額プラン、もしくは市内の距離制プランも検討中、新たな交通手段の確保を目指しています。

 

これからの取り組みとして、令和4年12月に自治体として初めてスタートアップ認証を受けた「平戸アルベルゴ・ディフーゾタウン」があります。イタリア語でアルベルゴは「宿」、ディフーゾは「分散した」を意味し、直訳すると分散型の宿となります。観光客は宿に宿泊し、食事や入浴は宿周辺の飲食店やカフェ、銭湯や温泉を利用します。地域一帯をひとつの宿と捉えて機能を分解し、観光客と地域との交流を促していくのです。街並みの景観を生かしつつ、酒蔵や松浦家の家老が住んでいた場所を宿泊施設に変え、より多くのお客さまが滞在できる分散型の宿泊施設を備えた街を目指しています。また、昨年より九州運輸局の支援を受けて、グリーンデスティネーションの取得を目指した取り組みも進めています。

 

食の宝庫としても知られる平戸市。とくに漁業は盛んで、幻の魚クエ、ヒラメ、あごは有名です。和牛のルーツのひとつとされる御厨牛を祖とする平戸牛。カステラの原型とされる銘菓カスドース。日本酒の酒蔵も2軒あり、森酒造場の「飛鸞」はロンドン酒チャレンジ2019で金賞受賞するなど、海外でも注目されています。もう1軒の福田酒造は平戸藩の御用酒屋であり、こちらもイギリスの品評会で最高賞、銀賞、銅賞を受賞しています。

 

平戸城の城泊と合わせて、さまざまな体験でお客さまをおもてなしする環境が整っています。城泊は現在、月に1件から2件のご利用ですが、これからさらに広げていきたいと考えています。

 

御清聴に心より感謝申し上げます。