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開催レポート

第10回富裕層観光戦略ウェビナー

第10回富裕層観光戦略ウェビナー
開催日2024年7月24日 (水) こちらのイベントは終了しました
開催時刻14:00~15:00
主催 一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構
協賛 株式会社クレディセゾン

今回のウェビナーは、岡山県の宇野港を中心に不動産事業や観光事業を手掛けている宇野港土地株式会社の京谷さん、下川さんのお二人をゲストにお迎えしてSETOUCHI Island hoppingの取り組みをお話しいただきます。

1919年創業の宇野港土地株式会社は、塩田事業の土地管理・活用のための組織として誕生以来、不動産事業を主軸に地域の特性を生かした様々な事業を展開。新規事業として2018年4月に瀬⼾内海の⾃然やアートを⾃由に巡ることのできるヨットチャーター事業をスタートさせ、船旅と島旅を融合した、唯一無二のエクスクルーシブな瀬戸内海ステイを提案されています。

大小さまざまな島が点在する瀬戸内海を知り尽くした島のスペシャリストとして、これまで数多くのインバウンド旅行客の要望にオーダーメイドで対応。国内外のエージェントの販路開拓にも熱心に取り組んでおられます。

今回のウェビナーでは、ヨットチャーター事業を始めた経緯と現状のオーダーメイドツアー内容のご紹介、そして、注力されている「SETOUCHI Island hopping」についてお話しいただきます。皆さまのご参加、心よりお待ちしております。

*見逃し配信動画をご希望の方も参加登録をお願い致します。

 

対象の方

  • 観光戦略を担う自治体・DMO関係者の皆さま
  • 「高付加価値」な観光サービスの提供事業者さま
  • 富裕層の観光需要を獲得したいとお考えの事業者さま
  • そのほか、ご関心のある方(意欲のある学生の方の参加も歓迎します)

 

プログラム内容

講演

「地域事業者が仕掛ける「SETOUCHI Island hopping」」

宇野港土地株式会社 専務取締役 京谷潤様

宇野港土地株式会社 マネージャー 下川沙希様 

質疑応答

 

 

主催者 / 一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構について

一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構は、ラグジュアリーツーリズムの振興を目的とした団体です。国内のラグジュアリーホテル・旅館・レストランのBEST10を顕彰する「Luxury Japan Award」や富裕層マーケット専門のプラットフォーム「Luxury Japan Virtual Travel Market(略称:LJTM)」を主催しています。

開催レポート

一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構は、7月24日(水)、10回目となる「富裕層観光戦略ウェビナー」を開催いたしました。

ご登壇は、宇野港土地株式会社専務取締役京谷潤さん、マネージャーの下川沙希さんをお迎えして、「地域事業者が仕掛ける『SETOUCHI Island hopping』をテーマにお話いただきました。

 

宇野港土地株式会社は玉野市の塩田管理事業として1919年に創業し、塩田が廃業となってからは不動産事業にシフト。10年ほど前からは、不動産事業としてはショッピングセンターや太陽光事業、また地域の特性を生かした観光関連事業として、瀬戸内温泉たまの湯、UNO HOTEL、無人島を貸し切れるKUJIRA-JIMAなどさまざまな事業を展開されています。

その中で、2018年4月からは岡山・香川エリアを中心に、瀬戸内海の自然やアートを自由に巡ることができるヨットのチャーター事業をスタートされましたが、瀬戸内海全体がクルーズを楽しめるエリアであることに気付かれ、今年4月からは大阪・神戸、しまなみ、広島のエリアまで含めた、瀬戸内海全体のクルーズを楽しめる「SETOUCHI-ISLANDER」という事業を展開されて参りました。
今回のウェビーナーは対談方式で行いましたが、以下、サマリーとしてまとめております。

 

1.『SETOUCHI Island hopping』の取り組み

瀬戸内海には、直島、宮島、しまなみといった、インバウンドを含めた観光客が多いエリアがありますが、多くの観光客は、そのエリア間の移動を、車や新幹線、電車を乗り継いで移動していることがもったいないと感じていました。そこで、地域のさまざまな事業者と広域で連携し、瀬戸内海全体を楽しんでいただける仕組みを作れないかと思ったことが事業展開のきっかけになっています。

事業体制としては、自社では持つヨットやボートだけでは広域クルーズは実現できないので、現在は不定期航路事業者6社と連携しています。この他にも、宿泊、食事、体験、島内での移動を手掛けている事業者と連携しながら、共同で商品を開発したりプロモーションし、クルーズを活用した瀬戸内海全域での旅行商品を販売することを目指しています。

モデルコースとしても、直島・豊島・犬島を巡るとすれば、移動時間を楽しむことができる40フィートのカタマランヨットをお勧めしており、もう少し大きい中型のクルーザーではジャグジーやラウンジがあるなど、より船内の時間を楽しんでいただけます。一方、テンポよく移動したい方には小型クルーザー、内装の変更ができ最大24名が乗れるプレジャーボートなど、さまざまな船があるので、お客様の層や行き先に応じて対応できます。

また、直島のアートを目掛けて来られるお客様が多いので、直島・豊島・犬島が王道のプランであるが、トレッキングができる志々島、通年で牡蠣がいただける北木島など、他にも魅力的な島が多くあり、瀬戸内海エリアに特化した会社ならではの、他のツアーには入っていない島をご案内可能です。

貸切無人島KUJIRA-JIMAを利用したプランなどはファミリーやハネムーンにおススメです。

 

2.インバウンド向けの商品づくり

インバウンド事業を始めたのは、ヨットのチャーター事業とKUJIRA-JIMAの事業を始めさせていただいたというのがきっかけです。直島で瀬戸内国際芸術祭が始まってから、地元の玉野市は単なる通過点でしかなく、何とか地元に滞留してもらえないかと考えていました。

旅行業の中でもクルージング事業に目をつけたのは、別の旅行関係団体からヨット事業をご提案いただいたことが施策のスタートですが、地元に人が滞留する仕組みとして、ゼロベースからの新規事業としてスタートし、カタマランヨットの導入から始めました。

具体的な手配の内容として、まだスタートしたばかりではあるものの、直島・豊島エリアでは、島内でのタクシー、食事、ガイドの手配も手掛けています。旅行会社、ランドオペレーター経由での販売になりますが、船の行程を含め、プラン作りやその内容の手配などをまとめてお任せいただくことを提案しています。

この事業は、ヨーロッパの地中海やエーゲ海のようなクルーズのマーケットをつくるという構想で原点にありますが、スタート時は、富裕層マーケットへの販売というのは全くゼロベースであったため、すぐに来てもらえるわけではありませんでした。そのため自ら海外の旅行商談会に飛び込んで話をしたり、販売ルート、ツールの勉強をしたり、国内ランドオペレーターの皆さんに知っていただく機会や、エージェントの方々に見ていただくなどを5年間積み重ねました。

現在、インバウンドの中でも利用の多い国としては、直島のアートの関心が圧倒的に高いため、フランス、アメリカが多く、アジア圏ではシンガポール、台湾が多い状況です。昨年ぐらいからは、ヨットのご利用も欧米中心から、中東、南米、メキシコ、ブラジルと広がっている実感があります。お付き合いのあるDMCさん、ランドオペレーターさん経由での紹介がほとんどですが、今年に入ってからは船を探している海外のエージェントが直接ホームページに入ってくることもあり、瀬戸内海自体が世界に広がってきているのかという感覚があります。

欧米の方の人気のコースは、やはり直島・豊島・犬島2日間か、直島をしっかり見るのであれば3日間で、その際の宿泊は、ラグジュアリー層ではあまり船内に宿泊することはないので、別に手配するか、ランドオペレーターさんが自身で手配することもあります。

その際に宿泊するケースとしては、直島のベネッセ、宇野のろ霞が圧倒的に強いが、自社のUNO HOTELをご利用されることも多く、陸路の手配としては、宇野港発着の場合は、岡山駅、岡山空港からの車の手配を承っています。

 

3.ヨット、クルージングについて

ヨットの予算感としては、船によって料金が全く異なるので都度見積もりということにはなりますが、カタマランヨットで8時間まで17万円、最大10名となっています。中型のクルーザーになると、1日チャーターで80万円程度となるものもあります。

直島・豊島・犬島が人気のコース、しまなみエリア、宮島も人気があります。最近では、しまなみエリアで泊られたお客様を直島まで、あるいは直島からしまなみエリアまでお連れすることがあり、さらにその先の宮島まで行けることを紹介していきたいと考えています。また、船は今、12艇ほどあり、ヨットや、ゆっくりクルーズできるクルーザー、スピードを求めるボートといろいろなアレンジができるので、いろいろなプランを知っていただきたいと思っています。

直島・豊島エリアからしまなみまで行くには、ノンストップでは約2時間半かかりますが、お客様が疲れてしまうので、多くの場合は30分ほどどこかの島でランチなど休憩を入れていただき、3時間ほどでプランを作っています。立ち寄りの島は、ご希望に応じて、事前に場所を決めています。

予約の開始は、船を持つ会社によって違いますが、概ね1年前から予約が可能です。また、直前対応に関しては、自社ボート、ヨットが空いていて船長とクルーの手配ができれば、前日対応も可能です。

メインの港は宇野港だが、要望があれば瀬戸内海、基本的にはどこでも発着できます。但し、それぞれの船会社から違うエリアへ発着となると、回航費が発生するため、チャーター料金とは別にご負担いただく形になっています。

食事や船内での楽しみというオプションについては、食事はヨット、中型クルーザー以上で全て提供できます。スピード重視の小型ボートでは船内の食事ができないので、食事は立ち寄りの島内でご紹介をしています。船内の食事としては、ケータリングで和食、洋食を選んでいただけるほか、シェフが乗船し料理をすることも可能です。食事制限は、現在はベジタリアンまでの対応とさせていただいています。

アクティビティのオプションもご用意できますが、行き先の島によってさまざまなので、お客様のリクエストを伺い、行き先や内容のご希望に沿った形でプランを作成させていただきます。お食事に興味のある方であれば、食の体験ができるところをご紹介したり、アクティブな方であればサイクリングやトレッキングを組み合わせるなどをご提案しています。また、マニアックなご要望のお客様であってもご希望に沿えるよう、日々、プランの開拓をしています。

瀬戸内海の島を巡る上で、お客様がガイドを希望されればガイドの手配や、通訳案内士が付かなくていいというお客様に対しては、クルーが対応できるようにしています。乗船するスタッフは、島の下見や、普段から視察で面白いものを拾うようにしています。

船の安全運行対策としては、船会社各社の運航基準を徹底して守る以外にないと考えます。自社の船も、風速10m以上では運航できないものとしていますが、実際は7m、8mで運行を中止しており、連携の各社も運航基準の運用はきちっとさせていただいています。

 

4.インバウンド事業と今後

インバウンド富裕層という観点における課題としては、船を動かすためには、各社が船長とサービスクルーが一抱えでやっていますが、広域で見たときに、船を持つ各社が、英語対応など言語を含めて、共通の枠組みの中でサービスができるようにしていくことです。1社が負担するのではなく、事業の中で仕組みを作り、共通の高いサービスを提供することが、今後の事業を広げていく上で重要と考えています。

世界中の富裕層が自前でスーパーヨットを持ってこられたときについては、サービスだけの提供ができるかについてまだ問い合わせがなく、現在は想定していません。

実例のご紹介として、80万円程度の予算で中型クルーザーをご利用になったお客様は、エージェントよりご紹介いただいたアメリカ人のご夫婦で、しまなみの旅館に宿泊され、宮島までチャーターされて回航費用も含め100万円程度でした。

お客様の日本での全体の滞在期間も、瀬戸内での滞在期間もまちまちです。来年は、また瀬戸内国際芸術祭があるので、エージェントさん、ランドオペレーターさんからは、瀬戸内全体で、1週間かけてアートを楽しむプランを作りましょうというお話をいただいています。クルーズを組み合わせることで、より長く瀬戸内を楽しんでいただくご提案ができると考えています。

今年、4月からスタートした事業なので、直島、しまなみ、宮島間を移動される方はまだ多くありませんが、これからも、水上移動、アイランドホッピングができるようになったことについて、エージェントさん、DMCさんにご紹介していきたいと思います。いろいろな形で幅広くプロモーションを行い、早く皆さんに認知していただきたいと思います。

別の機会にまた皆様にお話出来ればと思います。
御清聴に心より感謝申し上げます。