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開催レポート

第6回富裕層観光戦略ウェビナー

第6回富裕層観光戦略ウェビナー
開催日2022年6月14日(火) こちらのイベントは終了しました
開催時刻14:00〜15:00
定員500名
参加条件 無料・事前申込制
主催 一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構
後援 日本政府観光局(JNTO)
一般社団法人 東京ニュービジネス協議会
協賛 株式会社クレディセゾン

【見逃し配信の申込期限・視聴期限:202274日まで

今回のウェビナーは、ニセコエリア初となるコンドミニアム事業に参画され、数多くの外国人投資家によるニセコ投資を支援してこられたリゾートプロパティージャパン株式会社 代表取締役 大久保 実 氏にご講演いただきます。

これからの観光戦略において、「量」から「質」への転換が非常に重要です。コロナ禍、ホテル・旅館の従事者をはじめ、観光関連事業従事者の方々の中には、業界を離れることを決断された方も少なくありません。また、新卒採用の見送りや縮小、さらには業界の将来不安から、旅行需要回復局面において、働き手確保が再び問題となることが予想されます。

ハード・ソフト、それぞれの「質」を向上させることにより、宿泊費単価を引き上げ、ひいては観光事業従事者の賃金の引き上げることが、観光業界の生き残る唯一の道であり、「富裕層観光」に取り組む他ありません。

ニセコは、日本の「富裕層観光」のフロントランナー的な位置付けにあります。そのニセコが、どのようにして外国人投資家の投資を呼び込み、世界の富裕層を魅了するまでになったのか-。ニセコの発展に携わってこられたお一人である大久保氏にお話していただきます。

2030年に北海道新幹線倶知安駅の開業を控え、札幌市が招致活動を進めている冬季オリンピックではニセコがアルペンスキー会場として計画されているなど、将来の話題にも事欠かないニセコのこれからの可能性についても語っていただきます。

ニセコエリアで培ったノウハウを日本全国の観光事業者の皆さんに還元してゆきたいとお考えの大久保氏のご協力を得て実現したこのウェビナー。9月には現地視察研修プログラムも計画しています。どうぞご期待ください。

 

プログラム

特別講演 「世界の富裕層を魅了するニセコの現状とこれから」

リゾートプロパティージャパン株式会社
代表取締役 大久保 実 氏

質疑応答

ニセコ視察研修プログラムのご案内

対象の方

  • 観光戦略を担う自治体・DMO関係者の皆さま
  • 「高付加価値」な観光サービスの提供事業者さま
  • 富裕層の観光需要を獲得したいとお考えの事業者さま、自治体関係者さま
  • そのほか、ご関心のある方
    (意欲のある学生の方の参加も歓迎します)

 

登壇者プロフィール

リゾートプロパティージャパン株式会社
代表取締役 大久保 実 氏

1973年生まれ。北海道仁木町出身 2003年ニセコエリア初となるコンドミニアム事業に参画。海外富裕層からの投資を受け入れ不動産開発および管理運営など全般的な業務に携わる。外国人投資家および旅行者誘客に成功し地域の持続的経済発展に貢献。その後立ち上げたRPJ社では、これまでの経験を活かし、不動産業と地域の価値創造を組み合わせ、海外と日本をつなぐ観光インバウンド投資のコンサルを行なっている。 これまでに、DAC グ ループ(東京本社・総合広告会社)による、NIKIHills ヴィレッジ株式会社執行役員、仁木町のワイナリー開発のプロジェクトのサポート、一般社団法人倶知安観光協会・業務執行理事(J -クレジット部 会長)などを歴任し、北海道運輸局長より観光アクティビストを拝命し、道内外にてインバウンド事業への取組などについて行政・学校・経営塾など各地にて講演・講義も行っている。

 

一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構について

一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構は、ラグジュアリーツーリズムの振興を目的とした団体です。

国内・海外のバイヤー、セラー、自治体、DMOを対象とした、富裕層マーケット専門のプラットフォーム「Luxury Japan Virtual Travel Market(略称:LJTM)」を主催しています。

 

CONTACT

取材や掲載に関してのご相談はお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

開催レポート

一般社団法人ラグジュアリージャパン観光推進機構は、6月14日(火)、リゾートプロパティージャパン株式会社 代表取締役・大久保実氏を講師に迎え、6回目となる「富裕層観光戦略ウェビナー」を開催しました。

日本のインバウンドが再開の兆しを見せ始めた今、観光戦略においては「量」から「質」への転換が非常に重要となっています。

今後の日本の観光業界には、高品質・高付加価値なサービスを提供し、宿泊者単価を上げていくというサイクルが必要になってくると同時に、そういった好循環を生み、観光事業従事者の賃金を上げていくことが働き手の確保にもつながっていくのです。

 

現在、そうした日本の富裕層観光のフロントランナー的な位置づけにあるニセコ。そんなニセコはどのようにして外国人投資家の投資を呼び込み、世界の富裕層を魅了するまでになったのでしょうか。

これまで、ニセコエリア初となるコンドミニアム事業に参画し、数多くの外国人投資家によるニセコ投資を支援し、ニセコの発展に携わってこられた大久保氏に話していただきました。

 

まだまだ未来の投資が続く「ニセコ」

2003年、ニセコエリア初となるコンドミニアム事業に参画し、戸建てやマンションタイプの別荘を開発・販売、外国人投資家および旅行者の誘客に成功した大久保氏。

ニセコとは、北海道の道央西部、虻田郡にある町のこと。国立公園・羊蹄山(蝦夷富士)や、国定公園・ニセコアンヌプリを含むニセコ連山など、豊かな自然に恵まれたリゾート地です。

もともとは林業が盛んだったというニセコアンヌプリ。木を伐採した跡地をスキー場として利用したのが始まりだったそうで、80〜90年代には脱サラ・ペンションブームで関東・関西から移住する人が増えたものの、徐々に衰退。しかし2000年頃に外国人がニセコに入り始め、不動産を購入し、コンドミニアムの分譲開発事業もスタート。2016〜2020年の5年間で不動産の価値は7倍に上がったといいます。

ニセコが注目されたきっかけは2000年の同時多発テロ。「『アメリカの空を渡ってカナダにスキーに行きたくない』という人が増え、ちょうどその頃『日本のニセコでスキーができる』というのが口コミで広まったんです」と話す大久保氏。オーストラリア人を皮切りに、今では21カ国の方々がニセコに来ているのだそう。

 

現在、ニセコには4つのスキー場があり、付近にはパークハイアット(パーク ハイアット ニセコ HANAZONO)やリッツ・カールトン(東山ニセコビレッジ・リッツ・カールトン・リザーブ)などのホテルがあります。さらに2025年までにはアマンリゾートを筆頭に、ローズウッドやシンクスセンシズなど、3〜4のホテルが開業を予定しているそう。

コロナ前までは富裕層がこぞって来ていたニセコエリアですが、コロナの影響で非常に大きなダメージを受け、一時は観光客が1/6以下に落ち込みました。現在はようやく前年比の4倍程度にまで予約が回復。そのうち約9割が外国人の観光客によるものだといいます。

回復の兆しが見えつつある今、投資の面でも活発な動きがあるようで「大きなスキー場のあるニセコHANAZONOリゾートではアジアで一番長いジップラインを作ったり、この夏、日本初となる大規模な光のアートインスタレーション『Mountain Lights』を開催したりと、地域の新しい魅力を作っていただいています」と語る大久保氏。

さらに、ついに10億円を超える別荘の開発もスタート。来年から販売されるそうで、不動産の面から見てもまだまだ未来の投資が続いていると言えます。

 

“強いニセコ”を世界にアピールする作戦とは

では、なぜ世界の富裕層がニセコを目指すのでしょうか。その理由について、「まずはニセコを知っていただき、ニセコに注目してもらうための作戦を作りました」と話す大久保氏。

2000年代から、さまざまな国のユニークな経歴の持ち主(マイクロソフトやアップル社等で働いた経歴を持つハイキャリアな人々)が一緒に働いてくれたといい、「彼らの発想力や行動力、ネットワークをうまく組み合わせながら、世界に対してニセコの知名度と認知度を上げていこうと思った」と話します。

まずは日本で一番になろうと思い、手始めにオーストリアの「WORLD SKI AWARDS」にエントリーし、2013〜2016年の4年連続「日本のベストスキーリゾート」のアワードを受賞。海外の富裕層に“強いニセコ”をアピールしました。

 

そして、そんな富裕層向けのコンドミニアム事業のビジネスモデルについて、「まず、できあがった一棟もしくは一部屋を海外の富裕層の方々に購入していただきます。オーナーは海外の方が多いので、自分が使わないときは現地の不動産管理会社に管理と運営を任せます。そして、自分が使っていないときは一般のお客さまにホテルの部屋として貸し出しを行う、というシステムになっています」と説明する大久保氏。

このシステムのいいところは、所有者は不動産価値を下げないために管理会社に基本的な管理運営をしてもらうことが大前提となっているため、今のようなコロナ禍で誰も利用しなくなっても、建物(部屋)はいい状態で保てること。地元の管理会社にとっても、最低限の管理費をもらい、最低限のスタッフを維持しながら、なんとかコロナ禍を乗り切れたといいます。

 

今後は、これまでのように完全に所有権を分譲販売しながらやっていく方法と、タイムシェアやバケーションレンタル、また最近ヨーロッパなどでも増えてきているフラクショナルオーナー(所有権を共有し、分割使用する)の施設も増えていくだろうと予測していました。

さらに、VIP戦略の作り方について「事業投資家を自分の地域に呼び込むためには、やはり不動産が外せないポイントです。富裕層や事業家の方にとっては、不動産の価値がどう上がっていくかというのが非常に大切なポイントになりますから。あとは高級なレストランとコンシェルジュ。この3つをひとつのパッケージとして提供できるようにしておくのが、富裕層獲得への最初のポイントになると思います」と話す大久保氏。

たとえば、ニセコエリアの一番高いところは「ハク・ヴィラズ」で、1泊3万ドル(約400〜420万円)、しかも冬は5泊以上からしか泊まれないので、1回の予約でざっと2000万円以上になるそうですが、ここに泊まるかどうかはともかく、こういったコンドミニアムが選択肢の中にあることによって、海外の富裕層の方に来てもらえるのだといいます。

また、海外の富裕層の方はGoogleで調べることが多いので、Googleマップで星4.5程度のレストランがどれぐらいあるかということも非常に大切だといいます。ニセコでは星4.5以上のレストランが25〜26軒ほどあるそうで、「こういった情報を定期的に収集することも大切」と話す大久保氏でした。

 

変化する価値観と求められる旅のカタチ

ニセコが海外の富裕層の方に人気があるとはいえ、「グローバルで見るとニセコの不動産はまだまだ安い部類に入る」そうで、2021年の世界のスキーリゾート地の不動産相場のランキングを見ると、ニセコは34位(102万/1平米)で、1位の1/3程度。しかし、逆に言えばこれからまだまだ上がる可能性があると言えます。

 

現在、2030年に開催される冬季五輪の招致活動を進めている最中で、同年に北海道新幹線倶知安駅の開業を控えていたり、2028年頃に高速道路のインターチェンジができる予定があったりと、将来の話題にも事欠かないニセコ。そんなニセコについて、「海外の事業家や富裕層にとってもこのエリアに投資する意味は非常に大きい」と話す大久保氏。

 

さらに、「次に海外旅行したい国・地域」のアンケートで、アジア、欧米豪ともに日本が1位だったことを紹介した上で、「泊まりたい宿は『温泉のある日本旅館』、次いで『豪華で快適なホテル』という結果から、VIP対応の宿が足りない、つまり作ると需要があるというのが読みとれると思います」と、ニセコだけでなく日本全体の観光業の可能性についても示唆します。

今後のニセコについては「来ていただいた方にどのように滞在してもらうかが大きな課題」と話す大久保氏。近年、富裕層旅行者には変化が起きており、傾向としては「好奇心旺盛で訪問先が多く、長期滞在し、消費額も多い」のが特徴なんだとか。「ニセコでも、ニセコをベースに長期滞在しながら周辺の街に友人・知人と一緒に行くという滞在スタイルに変わってきてるな、ということは私自身、肌で感じてます」と実感していることを明かします。

 

「たとえばサイクリングがしたい人の場合、どんなルートがあるか、周辺にはどんな食べ物屋があるかなど事前調査に時間をかけ、旅先での大切な時間と思いをしっかりと味わいたいというこだわりのある方が増えています」と話す大久保氏。言い換えると、“誰にでも合うフリーサイズの旅”は難しくなってきているのだそう。

もうひとつ特筆したいのが、「子どもにグローバル市民の感覚を身につけさせたいという方が非常に多い」ということ。「特にアジアの富裕層の、若い世代のファミリーに多いんですけど、今後の日本の富裕層の旅行ビジネスには欠かせない大きなキーワードのひとつになるかなと感じております」と、その大切さを明かしていました。

 

ともに伴走し、プラットフォームを広げたい

豊かな自然に恵まれたリゾート地・ニセコ。さぞ事業もスムーズだっただろうと思いきや、「簡単に成功したように思われるかもしれませんが、事業を始めた当初は地域の方からいじめられました(笑)。誹謗中傷などもありましたし、面と向かって『おまえなんかニセコから出て行け』と言われたことも。観光協会の理事会で『おまえたちは観光事業者ではない』とまで言われ、非常に悔しい思いをしたこともあります」と、これまでの苦労を語る大久保氏。

 

ただ、今ではニセコでの経験を「貴重な成長体験をさせてもらった」と思っているそうで、「当時はまだインバウンドやコンドミニアムなどの単語も目新しく、あまり理解してもらえなかったんですけど、今はなじみのある言葉になっているので、今後さまざまな地域で富裕層ビジネスの導入を考えられている方も、僕よりスムーズに事業を進められるんじゃないかと思います」と話します。

 

今回のウェビナー講師を「新しい分野に挑戦したい事業者の方々を、私たちが後押し役となって事業を推進することで、ともに伴走、並走しながら、日本により多くの富裕層の方々が来られるプラットフォームをもっと広げていければ」という思いで引き受けたと話す大久保氏。

9月にはそんな大久保氏の全面的な協力による現地視察研修プログラムも計画していますので、どうぞご期待ください。

 

<ニセコ現地視察研修プログラム>

「ニセコのいま」をめぐる1泊2日 2022年9月3日(土)〜4日(日)

コンドミニアム、高級別荘、ホテルコンドミニアムなどの富裕層向け宿泊施設、分譲開発現場やニセコ周辺の注目スポットを巡るほか、参加者同士の交流会やニセコでのコンドミニアム開発事例について学ぶミニセミナーをご用意しています。

詳しくはLJTMの公式サイトでご確認ください。